ブラックラグーン/ BLACK LAGOON(TVアニメ1期2期OVA3期)
- 初出:2006年
- 作者 / 原作者:広江礼威
- 監督:片渕須直
- 制作会社:マッドハウス
- 声優:小山茉美 平田広明 森川智之 楠大典 浪川大輔 磯部勉 豊口めぐみ
記事を書いた人の評価
- 好き : ★★
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好き
- ★★★★★ 生涯の心の宝物
- ★★★★ 素直に好きと言える
- ★★★ 得るものはあった
- ★★ 暇つぶしにはなった
- ★ お金と時間の無駄
- 万人受け: ★★
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万人受け
- ★★★★★ 誰でも楽しめる
- ★★★★ 拒否反応はなさそう
- ★★★ 慣れた人なら大丈夫
- ★★ 偏りがあり人を選ぶ
- ★ マニアしか理解不能
- 完成度 : ★★★
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完成度
- ★★★★★ これ以上望めない
- ★★★★ 十分満足できる
- ★★★ 少し気になる箇所も
- ★★ 素人が作るよりマシ
- ★ 酷すぎてむしろ奇跡
作品の内容
日本のサラリーマン・岡島緑郎は、ふとしたはずみから、犯罪都市ロアナプラで荒事を請け負う運び屋ラグーン商会に身を置くことになった。そのまま日本を捨て、「ロック」の名で第二の人生を歩む彼は、数々の危険な任務へ赴くようになる…!
配信情報
2017/05/30現在
楽天SHOWTIMEとU-NEXTとビデオマーケットはOVA3期まで全て観れます。
Netflix(見放題)
楽天TV(課金/見放題)
U-NEXT(課金/見放題)
ビデオマーケット(課金/見放題)
レビュー(ネタバレなし)
この記事に続いて、レビュー(ネタバレあり)もあります。
同名アクションコミックのアニメ化。
監督の片渕須直さんは『この世界の片隅に』の監督と言えば認識してもらえるでしょうか。
『ブラックラグーン』から『この世界の片隅に』までおよそ10年間。
見比べますと、製作者、表現者としての「姿勢」は変わっていないなと感じます。
しかし、「やりたいこと」「表現したいこと」の方向性は変わったのだなと感じます。
この作品は、良くも悪くも「B級」作品です。
確実に好き嫌いがわかれる作品です。
私はこの作品が好きか嫌いか問われるなら、はっきり「嫌いだ」と答えます。
でも、それは、この作品に一定の印象、インパクトを受けたからでもあります。
皆さんも、一度ご覧ください。
その上で、好きか嫌いか、お話をいたしましょう。
円盤は「いかにも」なチープ感あふれるB級パッケージでBOXが出ています。
BLACK LAGOON Blu-ray BOX
評価者
j-cultures.org
評価日
作品名
ブラックラグーン
好き
レビュー(ネタバレあり)
◆クリック【ネタバレを読む】クリック◆例によって、原作未読でのレビューになります。
そもそも原作まで目を通してしっかりアニメ作品について語るとなると、それはもうレビューの域は超えていて、評論ということになってきます。
などと言い訳をしながら、レビューしますね笑
まず、どうも原作がかなりB級アメリカ映画オタクの臭いがプンプンする作品らしいですね。
なので、それをアニメ化するとなりますと、その臭いを消すわけにはいきませんので、当たり前ですが原作の「臭い」イメージは踏襲(とうしゅう)されています。
それはまあ良いんですが、問題は、「リアリティ」をどう捉えるかということになるでしょうか。
そもそも「ガンアクション」というのがとんでもなくフィクションであり、そこにリアリティなんてものはないんですね。
銃をぶっ放し合えば、普通、大体死にます。
「物語」になりません。
ただ、それをあまりにストイックに突き詰めて描いてしまいますと、『プライベートライアン』みたいなリアルすぎる戦争映画になってしまいます。
そこなんですね。
戦争というものを描くなら、ある種の「記録映画」としての要請を社会から受けます。
その要請にしっかり応えた結果が、『この世界の片隅に』ということになります。
では、『ブラッックラグーン』は何かと言いますと、これは「リアリティを偽装された娯楽作品」です。
ロアナプラという街自体は架空のものですが、背景の設定などにはそれなりのリアリティを持たせています。
しかし、その全てがただの舞台装置であって、リアルではありません。
設定の「リアリティ」はありますが、感覚が「リアル」ではないんですね。
そこで生きている「肌感覚」が欠けています。
頭の中で考えつく「リアリティ」をいくら散りばめても、それが自分自身の体験に基づくものでなければ「リアル」なものにはならない。
(ハリウッド映画ではなくて)アメリカ映画に対する憧れや多少の軽蔑といった複雑な感情がそこかしこに垣間見られます。
レヴィのセリフとか、普通の神経してたら、あんなの書かないです笑
というわけで、ブラックラグーンの世界観は、おそらく作者の何らかの劣等感によって構成されいるため、全くリアルではありません。
それが、即ダメだというわけではないのですが、私は個人的に引っかかってしまいましたんで、観てるのがしんどかったです。
以上、いまのところ原作の話ばかりをしており、まだアニメとしての演出の話を全くしていません笑
私は片渕須直という人が何故この作品を作ることになったのか、裏側が知りたいです。
たぶん、「現実」を描くということが、彼の作り手としての基本姿勢なのだと思います。
その中で『ブラックラグーン』という作品に、当時、一定の「現実」を感じたのでしょう。
そして、その方向をこの10年で、突き詰めたのでしょう。
『この世界の片隅に』は究極のリアリティ(ドキュメンタリー)アニメです。
話がずれますが、新海誠が叙情性の極みにいるなら片渕須直は叙事性の極みにいる監督と言えそうです。
いずれにせよ、現実を描きたいという姿勢は当時からあったはずなわけで、「リアリティ」による偽装は非常に成功しています。
いかにも「大人向け」という絵面を、見事に偽装しています。
そして、私がこの作品で唯一と言って良い、大きく評価したいと感じたポイントは、エンディングですね。
暗い砂浜を歩く1人の女性(レヴィ)の足元だけを延々と画面に映し続け、そこに収束地点の見えない暗い音楽を流し続けます。
このエンディングは、他のどのアニメと比較しても確実に「異質」です。
この演出は、「リアル」でした。
これができるなら、「ストーリーももっとリアルに演出できたのでは?」と感じましたが、やはり、銃社会で生きていない我々日本人が「ガンアクション」を描こうということ自体が、そもそも「コンプレックス」であり限りなく「不可能」なことなんでしょうね。
リアルでないリアリティ。
なんともねじれた作品でした。
BLACK LAGOON Blu-ray BOX