デビルマン(原作マンガオリジナル版)
記事を書いた人の評価
- 好き : ★★★★★
評価基準を表示
好き
- ★★★★★ 生涯の心の宝物
- ★★★★ 素直に好きと言える
- ★★★ 得るものはあった
- ★★ 暇つぶしにはなった
- ★ お金と時間の無駄
- 万人受け: ★★
評価基準を表示
万人受け
- ★★★★★ 誰でも楽しめる
- ★★★★ 拒否反応はなさそう
- ★★★ 慣れた人なら大丈夫
- ★★ 偏りがあり人を選ぶ
- ★ マニアしか理解不能
- 完成度 : ★★★★
評価基準を表示
完成度
- ★★★★★ これ以上望めない
- ★★★★ 十分満足できる
- ★★★ 少し気になる箇所も
- ★★ 素人が作るよりマシ
- ★ 酷すぎてむしろ奇跡
作品の内容
不動明は、居候先の牧村家の娘・美樹と仲良く学校に通う大人しい少年であったが、ある日親友の飛鳥了から、他の生物との合体能力を持つ、地球の先住人類「デーモン(悪魔)」が、二百万年の眠りから目覚めて復活し、地球を人類から奪い返そうとしていることを知らされる。
配信情報
レビュー(ネタバレなし)
この記事に続いて、レビュー(ネタバレあり)もあります。
言わずと知れた『デビルマン』ですが、原作の漫画をまともに読んだことがある方はあまりいないのではないでしょうか。
デビルマンは、漫画版とTVアニメ版(と実写映画)がありますが、テイストが全く違います。
TVアニメ版は、きちんと完結しませんが、懐かしのアニメとして十分楽しめるものです。
(あ、えっと、実写映画には触れないであげてね)
ちなみに、ですが、Netflixオリジナルの新作アニメとして『デビルマン』の原作漫画の結末まで完全再現版が制作決定しています。
さて、原作漫画についてですが、これは、TVアニメ版のような中途半端なものではなく、日本漫画界の一つの到達点であり、その後の作品(『AKIRA』『エヴァ』『寄生獣』『ベルセルク』など)に与えた影響ははかりしれません。
そういう存在ですので、オリジナルだけでなく、非常に多くの派生作品があります。
ともあれ、ここで私が読んで欲しいとオススメするのは、やはり、原典、オリジナルの漫画版だけです。
しかし、これも、現在、作者の永井豪自らが加筆再編集したバージョンしか出ていません。
若い時に作った作品を歳を取ってから見直すと、いろいろ直したくなるものだと思いますが、私は、それはやってはいけないと思います。
しかも、オリジナル版を絶版にしてしまうとか、作者のエゴです。
どんな事情、理由があったにせよ、作品としていったん世に送り出したものは、封印しないでいただけるよう、作者、出版社には努力して欲しいものです。
まず、とにかく加筆された部分が、どうもオリジナルにあった勢いを削ぐと言いますか、蛇足なんですね。
しかも、御大自ら加筆した絵が、若い頃と比べてなんら綺麗になっていないどころか、相変わらずデッサン狂ってますので(笑)余計に気が散ります。
若い荒削りな作風なままの方が、絶対に良いです。
というわけで、いま普通に買えるデビルマンの漫画は全てオリジナルではありません。
プレミア価格になりますが、「オリジナル版」「完全復刻版」「愛蔵版(※豪華愛蔵版ではなく)」が本来の姿のデビルマンです。
それ以外の改訂版やら新装版やらはオリジナルではないです。
が、まあマニアでなければ雰囲気は十分伝わると思いますので、こだわりがなければそれでも良いかもしれません。
ちなみに、私はプレミア価格で購入した完全復刻版を、さっさと裁断機でバラして自炊(電子化)しました笑
オリジナル(もしくはオリジナルに近いもの)はこちら
オリジナル版
完全復刻版
愛蔵版
一応、いま買えるデビルマン(どのみちオススメしませんので文庫版で十分でしょう)
評価者
j-cultures.org
評価日
作品名
デビルマン
好き
配信情報
レビュー(ネタバレあり)
◆クリック【ネタバレを読む】クリック◆1972年の時点で、この作品が週刊少年マガジンに連載されていたというのは、恐ろしいことです。
ちなみに、週刊少年ジャンプでの『ハレンチ学園』の連載も同時期にかぶっていたそうで、それだけでも驚きますが、他にも2本ほど連載抱えていたらしく、あまりの多作ぶりに驚きを通り越して呆れます笑
しかし、さすがに、最終的にはある程度絞ったらしいですが。
さて、本題に入りましょう。
永井豪は『デビルマン』の連載前に『魔王ダンテ』という漫画を書いています。
そこからもわかるように、作者は西洋古典文学の最高傑作、ダンテの『神曲』の影響を隠しておりません。
幼少期に子供向けの『神曲』を読み、ギュスターヴ・ドレの挿絵に強烈な印象を受けたそうです。
それを、わずか5巻で完結する形で表現しきったことが、『デビルマン』が大傑作たる所以です。
ストーリーが進むにつれ、話がどんどん大きくなり風呂敷が広がっていきますが、ちゃんと5巻で有無を言わせず決着をつけます。
目指すものが違うので同列では比較できませんが、『ベルセルク』などは、広げた風呂敷の回収の目処が立たないまま、連載開始から30年近く経ったいまも、連載と休載を繰り返してますからね。
さて、『デビルマン』における「最終戦争」、それは地球規模にまで拡大します。
しかし、作者はその詳細を描くことを完全に放棄します。
結局は、飛鳥了と不動明、その二人の関係に全てが集約します。
だから、デビルマンが何人死のうが、デーモンが何匹死のうが、最終戦争の詳細などどうでも良いのです。
その割り切りが素晴らしい。
そして、最終話、サタンと不動明が月を見上げるシーン。
このシーンは、漫画が漫画として初めて到達した、歴史に残る一地点だと思います。
いわゆる「鬱展開」ストーリーは、読後感が良くないものが多いですが、この作品の読後感はそんじょそこらの鬱漫画とは違います。
というよりも、正確に言いますと、この作品はどうも雰囲気で「鬱展開」のように分類されますが、正直なところ、別に「鬱展開」ではありません。
これは、神話であり、現実の延長を描いたものではないからです。
神々に、躁も鬱もありません。
そして、この作品の最大の特徴は、誰が読んでも必ず読後に「悪(魔)とは何か」というテーマを考える羽目になることです。
誰が読んでも100%同じ読後感をもたらすというのは、扱ったテーマがあまりに普遍的なためです。
こんなにも普遍的なテーマを正面から堂々と描き切ったこの作品は、漫画の可能性を大きく切り開いた大傑作と断言できます。
ただ、作品は素晴らしい反面、その作者である永井豪は、この大傑作を描いてしまった呪縛にいまもなおとらわれ続けている気がします。
人の身でありながらこの作品を書き上げた、永井豪もまた悪魔に取り憑かれてしまったのかもしれません。
そう。
歌いましょう。
今日もどこかで、デビルマン♪
デビルーマーンー♪
ちなみに、デビルマンのマニアのために、かつての永井少年が目を奪われたギュスターヴ・ドレの描く『神曲』もオススメしておきます。
中古品でしか手に入らないようですが、マジで良いです。
ダンテの『神曲』を全く読んだことない人でも、絵本感覚で世界に入っていけます。
是非、ご一読あれ。
ドレの『神曲』
TVアニメ版 Blu-ray BOX
オリジナル(もしくはオリジナルに近い)
オリジナル版
完全復刻版
愛蔵版
一応、いま買えるデビルマン(どのみちオススメしませんので文庫版で十分でしょう)